9月4日の火の見やぐら

2010年9月4日 この記事をnewsing it!へ追加 Yahoo!ブックマークに登録 この記事をlivedoorクリップに登録  印刷する 印刷する

 夕べの風に多少の涼も感じられ、秋の虫たちのすだく音も聞こえはじめた。季節の妖精ともいえる虫たちは、昔から私たちの身の周りにいて、常に共存してきた▼そんな虫たちを、私たちはまたいろいろと利用してきた。養蜂での蜂蜜と蜜蝋(蝋燭)、養蚕での絹糸や蛹粉然り、食糧としての蝗(いなご)や蜂の子等等。堆肥や農地作りなど衣食住のいろいろな面で活用している。そればかりではない。「腹の虫が治まらない」とか「虫が好かない」、「虫の居所が悪い」「虫がいい」「虫の知らせ」などなど。体内に住む虫なら回虫とか蟯虫、条虫などを思い浮かべるが、この虫はそうではない。虫を感情や所作などの「心の代役」に仕立てて随分と重宝させてもらっているのだ▼その日本古来の虫たちは、次第に家の周りから姿を消している。それに代わって外来・渡来種の存在が目立ってきているという。物資の大量往来や温暖化などがもたらしているようだ▼「怪談」の著者・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、「日本人は種々の虫の音を聞きわけ、楽しんでいる美的生活者」だと深い感銘をうけている。このすばらしい感覚を私たちは未来へと継承したいものである。「スイッチョと鳴くはたしかに蓮の中」(高浜虚子)