昭和20年前半、「緑の小筐」という映画が世間に感動を与えた。山村に住む一家。父は船乗りとして海に出ている。この川は海に通ず。残された子が母の病を知らせるため、父の残した緑色の小箱に手紙を入れて小川に長洲。小箱は川を下り長い旅をして海に出、やがて父親の元へと…。海には無限のロマンがあった▼地球表面の70%を覆って太古より渺々と広がる海。ポセイドン神話や龍宮伝説を生み、底知れぬ神秘性と謎を秘めてきた海。この海の姿も、時の流れとともにそのメカニズムが次第に解き明かされ、科学の光が海底まで届きはじめた▼あの3・11の大津波が津々浦々からさらったがれきが今、東方に向かう黒潮に乗って漂っているという。今年の1月下旬には、宮古水産高校の実習船が南鳥島の北東海域でがれきを発見し、ミッドウェー島付近ではロシア船が名入りのがれきを見つけている▼推定400万トンともいう膨大ながれきが、ゆっくりと北アメリカの西海岸に向かっていて、やがて2年後の2014年春には到着するという。つまりがれきは3年余りで太平洋1万㎞を横断することになる。海に流出した放射性物質も、がれきと同じ経路を辿るとしたら、どうなるのだろう。(洋)




