このページの最終更新日:2019年5月6日
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新民法150条は、催告を時効の完成猶予事由として規定しています。
催告とは、債権者が債務者に対して債務の履行を請求すること(意思の通知)をいいます。
催告は時効の完成を阻止するための暫定的な手段にすぎないので、広く権利者の権利主張とみられる意思の通知があれば催告として認められてよい。
内容証明郵便による履行の催促などがその典型例です。
催告は、裁判外で行われることが通常ですが、裁判上の行為が催告とみなされることもあります(後述)。
裁判手続きおいてなされる権利主張が催告とみなされる場合があり、裁判外でなされる催告と区別して裁判上の催告と呼びます。
たとえば、目的物返還請求訴訟において被告が留置権の抗弁をするときは、その要件である被担保債権の存在を主張する必要があるので、留置権の抗弁は被担保債権の時効との関係では催告とみなされ、訴訟係属中は存続します(最大判昭和38.10.30)。
旧法においては、裁判上の請求などの裁判手続きが時効中断の効果を生じない場合であっても、判例によって裁判上の催告としての効果が与えられていました。
しかも、裁判手続中は継続的に催告がなされているとみて、取下げなどによって裁判手続きが終了した時点をもって催告に与えられた6ヶ月の猶予期間が進行するとしていました(最判昭和45.9.10)。
新法は、裁判上の催告に関する判例の趣旨を147条および148条の中(括弧書き部分)に取り入れています。
催告の効果は、催告があった時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しないことです(150条1項)。
催告によって時効が完成が猶予されている間にされた再度の催告は効力を有しません(同条2項)。
催告によって時効完成が猶予されている間に協議を行う旨の合意がされた場合も同様です(151条3項前段)。
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当事者間において権利についての協議を行う旨の合意が書面でされた場合、時効の完成が猶予されます。
当事者が権利をめぐる紛争を解決するための協議をしていても、時効の完成を阻止するために訴えを提起などを要求するのでは、時効制度がかえって紛争解決の障害となってしまいます。
そこで、協議を行っている間は時効が完成しないようにするための手当てが講じられています。
協議を行う旨の合意の要件は次のとおりです。
① 権利についての協議を行う旨の合意
② 書面または電磁的記録
協議を行う旨の合意によって時効の完成が猶予される期間は、151条1項各号に規定されています。
① 合意があった時から1年間(1号)
② 1年に満たない協議期間を定めたときは、その期間(2号)
③ 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から6か月間(3号)
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