このページの最終更新日 2016年9月30日
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消滅時効とは、権利不行使の状態が一定期間継続したときに権利消滅の効果を認める制度を言う。
たとえば、ある者AがBに対して金銭を貸し付けたが、その後、Aが貸金債権の請求を10年間怠っていた場合、Aの債権はBが消滅時効の成立を主張することによって消滅する。
消滅時効は権利不行使の事実状態を基礎として成立するが、どの程度の期間その事実状態が継続することを要するかについては、権利の種類に応じて異なる。債権一般について言えば、その消滅時効期間は10年と定められている(167条1項)。
消滅時効と似てはいるが異なる制度として除斥期間がある。ある条文に定められた権利行使の期間制限が消滅時効と除斥期間のいずれであるかが問題となることが多い。
消滅時効の要件は、権利不行使の状態が一定期間継続することである。この要件でとくに問題となるのは、①時効進行が開始する時点(起算点)と②時効期間の長さである。
消滅時効の起算点は、「権利を行使することができる時」であると定められている(166条1項)が、例外もある(724条前段など)。
消滅時効期間は、一般の債権については10年、債権または所有権以外の財産権については20年と定められている(167条)が、権利の種類によってこれとは異なる時効期間が法定されている。
消滅時効にかかる権利は、時効の完成によって消滅する。もっとも、当事者が時効を主張するためには援用することを要する(145条)。
時効による権利消滅の効果は、起算日までさかのぼる(時効の遡及効、144条)。権利が時効により遡及的に消滅する結果として、時効期間中に発生した利息や遅延損害金を支払う義務も消滅する。
例外的に、時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺適状にあった場合には、債権者は時効消滅した債権をもって反対債権と相殺することができる(508条)。いったん相殺適状に達すると、当事者間では事実上決済がなされたものとして扱うのが通常であることから、当事者のそのような信頼を保護するためである。
債務者が時効完成後に債務を弁済した場合、それが時効利益の放棄と認められ(時効完成を知っていた場合)、あるいは援用権を喪失する(時効完成を知らなかった場合)ので、債権者の弁済受領は不当利得とはならない。
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