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期間の計算方法(暦法的計算法)

このページの最終更新日 2020年12月26日

1 長期間の計算方法

暦法的計算法

民法は、140条から143条にかけて、日・週・月・年を単位とする期間(長期間)の計算方法について定める。

長期間の計算では、便宜上、1日未満の端数の時間を計算することはしない。つまり、初日の1日に満たない端数時間は、原則として切り捨てる(後述)。

また、週・月・年を単位とする期間の場合には、「暦に従って計算する」(143条1項)。つまり、日に換算せずに週・月・年を数えることによって計算する。

2 起算日

初日不算入の原則

日・週・月・年を単位として期間を定めたときは、原則として、期間の初日(しょじつ)を算入せずに翌日から起算する(140条本文)。

つまり、期間計算開始の契機となる事実が発生した当日=初日を切り捨てて、その翌日を計算上最初の1日=起算日(きさんび)とする。これを初日不算入の原則(しょじつふさんにゅうのげんそく)という*。

例1

「○○を知った時から5年間」というときは、○○を知った日(初日)ではなくて、その翌日が起算日となる。

*初日を丸1日として算入する方法もあるが、法律上期間の経過は当事者の不利益となる場合が多いので、民法は期間の満了が遅くなるように不算入のほうを採用した。

期間が午前零時から始まる場合は、初日が丸1日あるので、例外的に初日から起算する(140条ただし書)。

例2

「翌月10日から3か月」というときは、初日である10日が起算日となる。

年齢計算の起算日

民法以外の法律によって初日不算入の原則に対する例外が定められていることがある。

その一例として、年齢計算ニ関スル法律は、年齢は出生の日から起算すると定める(同法1項)。

例3

4月1日に生まれた子は、(翌日の2日ではなく)1日を起算日として年齢を計算するので、翌年3月31日(誕生日の前日)の終了をもって満1歳となる。

参考

4月1日生まれの子の入学時期はいつか

子どもは、満6歳に達した日の翌日から最初の4月1日が到来するときに小学校1年生となる(学校教育法17条1項、同法施行規則59条)。

本文例3のように、4月1日生まれの子は誕生日前日の3月31日(の終了時)に満6歳になるので、満6歳に達した日の翌日が最初に到来する4月1日になる。

したがって、4月1日生まれの子は、満6歳に達した年に始まる学年に入学することになる(いわゆる「早生まれ」の扱い)。

これに対して、4月2日に生まれた子は、4月1日に満6歳になるので、満6歳に達した日の翌日(4月2日)以後における最初の学年の初めである翌年の4月1日に小学校1年生となる(いわゆる「遅生まれ」の扱い)。

3 満了日

期間の満了点

期間は、その末日の終了、すなわち午後12時の経過をもって満了する(141条)。これは、起算点に関して初日不算入の原則を採用したことに対応している。

期間の末日=満了日(まんりょうび)は、以下のようにして定まる。

日を単位とする期間の場合

日を単位とする期間は、起算日から所定の日数を数えて最後の日に満了する。

例4

「3月20日から10日間」というときは、3月20日を起算日(1日目)として数えて、10日目にあたる3月29日が満了日となる。

月・年を単位とする期間の場合

月または年を単位とする期間は、「暦に従って計算する」(143条1項)。すなわち、月・年を日に換算せずにそのまま数える。

(1) 月・年の初めから起算する場合

月・年の初め(1日)から起算するときは、その月・年を最初として所定の月数・年数を数えて、最後の月・年の末日に期間が満了する。

例5

「2月1日から3か月間」というときは、年の平閏や月の大小にかかわらず、2月を最初の月として月数を数え、3月目の4月の末日が満了日になる。

(2) 月・年の途中から起算する場合

月・年の初日以外の日から起算するときは、月・年に満たない端数の処理が問題となる。この点につき、民法は次のような方法をとる。

期間の起算日の翌月・翌年を最初として月数・年数を数え、最後の月・年においてその起算日に応当する日=応当日(おうとうび)の前日に満了する(143条2項本文)。

例6

「1月15日から5か月間」というときは、翌月から数えて5月目の6月15日が応当日であるから、その前日の同月14日が満了日となる。

例7

「2022年10月5日から3年間」というときは、翌年から数えて3年目の2025年10月5日が応当日であるから、その前日の同年同月4日が満了日となる。

(3) 最後の月に応当日がない場合

月には大小があり、また、年には平閏があるために、最後の月に応当日がないときがある。そのようなときは、その最後の月の末日に期間が満了する(143条2項ただし書)。

例8

「1月31日から1か月間」というときは、翌月の2月には応当日(31日)がないので、平年であれば同月28日(閏年であれば29日)が満了日となる。

週を単位とする期間の場合

週を単位とする期間についても、暦にしたがって計算する(143条1項)。

もっとも、週を単位とするときは日に換算しても計算結果が同じであり、また、応当日が存在しないことによる問題は生じない。

期間の末日が休日に該当する場合

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たるときは、期間はその翌日に満了する(142条)。

例9

「2022年5月1日から3か月間」というときは、本来の満了日である7月31日は日曜日に当たるので、その翌日の8月1日(月曜日)が満了日となる。

4 過去にさかのぼる期間の計算方法

期間が過去にさかのぼる場合

期間が過去にさかのぼる場合の計算方法についての規定は存在しない。そのため、通常の期間の計算方法に関する規定を類推適用する。

たとえば、社員総会を招集するには、総会当日の1週間前までに社員に対してその通知を発しなければならない(一般法人法39条1項)。

社員総会の開催日を5月12日に予定している場合、開催当日(12日)は初日として参入せず、その前日﹅﹅(11日)を起算日として1週間さかのぼると、5日が期間の末日(満了日)となる。その開始時﹅﹅﹅(午前零時)をもって期間が満了する。

社員総会の招集通知は期間の満了点である5月5日午前零時の前までに発出しなければならないから、その期限は5月4日午後12時となる。

理解度チェック

正誤問題

次の各文を読んで、その内容が正しいときは〇、間違っているときは✕と答えなさい。

(1) 「翌月1日から3日間」というときは、初日の「1日」は算入しない。

(2) 「4月1日から3か月間」と「5月1日から3か月間」の両期間の日数は異なる。

(3) 期間の末日が国民の祝日に関する法律に規定する休日に当たるときは、期間はその翌日に満了する。

ヒント

(1) 初日が午前零時から始まるときは、これを算入する(140条ただし書)。

(2) 月や年を単位とする期間は暦にしたがって計算するので、期間の実際の日数は月の大小や年の平閏(平年か閏年か)によって異なる。「4月1日から3か月間」は91日、「5月1日から3か月間」は92日ある。

(3) 142条。

答

(1) ✕

(2) 〇

(3) 〇

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