このページの最終更新日 2015年9月30日
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条件とは、法律行為の効力の発生または消滅を将来発生するかどうか不確実な事実にかからせる附款をいう。また、そのような事実も条件と呼ばれる。
条件となる事実(条件事実)は、将来の成否が不明な事実に限られる。将来発生することが確実な事実は、期限として扱われる。(ただし、ある事実が条件であるか期限であるかの判別が容易でない場合もある。)
〔解説〕法律行為の附款
一般に、法律行為はその成立と同時に無制限にその効力を生じるが、当事者が法律行為をする際に、法律行為の効力に制限を付加する場合がある。このような法律行為の一部として付加された制限を法律行為の附款と呼ぶ。負担付贈与(553条)や負担付遺贈(1002条)における負担も附款の一種である。
条件には、停止条件と解除条件の二つの種類がある(127条参照)。
(1) 停止条件
法律行為の効力の発生が将来発生するかどうか不確実な事実にかかっている場合を停止条件という。たとえば、「合格すれば報奨金を与える」という約束の「合格すれば」という部分、または、「合格」という事実が停止条件にあたる。
(2) 解除条件
法律行為の効力の消滅が将来発生するかどうか不確実な事実にかかっている場合を解除条件という。たとえば、「退学したら奨学金の支給を止める」という約束の「退学したら」という部分、または、「退学」という事実が解除条件にあたる。
〔参考〕法定条件
法律が一定の事実を特定の法律関係における効力発生の要件としている場合がある。たとえば、農地所有権の移転における農地法第3条の許可がこれにあたる。民法の条件に関する規定は、本来、当事者が任意に定めたものに適用されるが、法定条件にも類推適用すべきかが問題となる。(最判昭36.5.26―130条の類推適用を否定、最判昭39.10.30―一般論として128条の類推適用を肯定)
法律行為の効力が確定的に発生することが要求されるような行為には、条件をつけることが許されない(条件に親しまない行為)。
(1) 身分行為
婚姻や養子縁組、認知、相続の承認・放棄のような身分行為に条件をつけることは、強行規定または公序良俗に反するために認められない。たとえば、相手の離婚を条件とする婚姻予約は無効である(大判大9.5.28)。
(2) 単独行為
相殺、解除、取消し、追認などの単独行為に条件をつけることは、相手方の地位を著しく不安定にするので、原則として認められない(相殺につき、506条1項)。例外として、条件の内容が相手方を不安定な地位に置くようなものでないときは、条件をつけることが許される。たとえば、一定期間内に債務を履行しないことを停止条件とする解除は、有効であると解されている。なお、遺贈に条件を付けることも可能である(994条2項参照)。
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