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法律行為の分類

このページの最終更新日 2015年12月31日

1 契約・単独行為・合同行為

法律行為は意思表示を要素とするが、意思表示の数や結合のしかたによって次のように分類される。とくに契約と単独行為は、民法を学ぶうえで基本となる概念である。

(1) 契約

契約とは、相対する二つ以上の意思表示が合致することにより成立する法律行為を言う。たとえば、「売りたい」という意思表示(申込み)に対し、「買いたい」という意思表示(承諾)がなされることによって、売買契約という一つの法律行為が成立する。民法は、13種類のタイプの契約について規定を設けている(民法第三編第二章「契約」参照)。しかし、民法その他の法律に規定されていないタイプの契約を締結することも当事者の自由である(契約自由の原則)。

(2) 単独行為

単独行為とは、一つの意思表示によって成立する法律行為を言う。単独行為には、取消し(120条・123条)のように相手方の意思表示の受領を必要とするものと、遺言のように相手方の意思表示の受領を必要としないものとがある。前者を相手方のある単独行為と呼び、後者を相手方のない単独行為と呼ぶ。

相手方のある単独行為の例として、取消し、追認(122条)、本人の追認・追認拒絶(113条)、時効の援用、時効の利益の放棄、選択債権の選択、相殺、債務の免除、解除、買戻しなどがある。

相手方のない単独行為の例として、所有権の放棄、相続の放棄、遺言などがある。

(3) 合同行為

合同行為は、同方向に向けられた複数の意思表示の合致により成立する法律行為である。契約と同じく複数の意思表示からなる法律行為であるが、意思表示の向けられた方向が相対せずに同じである点が契約と異なると説明される。合同行為の例として、社団法人設立行為や総会決議が挙げられる。

【図】契約・単独行為・合同行為
【図】契約・単独行為・合同行為

〔考察〕法律行為概念の有用性

法律行為という概念は、契約、単独行為、合同行為の概念の共通項(意思表示を要素とする法律要件)を抽出して構成された上位概念である。法律行為は民法典に規定されている概念であるが、解釈技術的にこのような概念を立てることの有用性が疑問視されている。

2 その他の分類

要式行為と不要式行為

法律行為の要件として一定の方式(書面の作成や届出など)が必要とされるか否かによる分類である。必要とされるものを要式行為と言い、不要とされるものを不要式行為と言う。

法律行為自由の原則はその内容として方式の自由をも含むから、法律行為の方式をどのようにするかは当事者が自由に決定できるのが原則である。しかし、さまざまな理由から、一定の方式が要求される行為もある。たとえば、婚姻や縁組のような身分行為は、それを公示する必要などから、届出が要求されている。また、保証契約は、保証人となる者に慎重な考慮を促すために、書面の作成を要する(446条2項)。

〔参考〕要式行為の例

要式行為の例として、保証契約や定款の作成、婚姻、養子縁組、認知、遺言、任意後見契約、手形の振出し、定期借地借家契約などがある。

物権行為と債権行為

物権の変動を目的(内容)とする法律行為を物権行為と呼び、債権関係の発生を目的とする法律行為を債権行為と呼ぶ。前者の例として抵当権設定契約があり、後者の例として売買契約や賃貸借契約がある。物権行為は、債権譲渡のような物権以外の権利の変動を目的とする行為とあわせて処分行為と呼ばれることがある。

財産行為と身分行為

売買契約や抵当権設定契約などのように財産法上の効果が発生する行為を財産行為と言い、婚姻や養子縁組などのように身分法上の効果が発生する行為を身分行為と言う。身分行為に対しては、民法総則の規定を適用すべきではない場合が多い。

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