物の分類の一種。
特定物(とくていぶつ)とは、具体的な取引の際に当事者が物の個性に着目したときのその物をいう。そうでない物が不特定物(ふとくていぶつ)である。
たとえば、当事者が売買取引の際に「この車」と指定したときは特定物であるが、「車10台」としたときは不特定物である。
代替物・不代替物の区別と似ているが、代替物・不代替物は物の性質による客観的区別であるのに対し、特定物・不特定物は当事者の意思にもとづく主観的区別である点が異なる。
特定物の給付を目的とする債権と不特定物の給付を目的とする債権とでは扱いが異なるので、区別の実益がある(400条~403条・483条・484条)。