住所・居所・仮住所・不在者

民法総則

住所とは

住所じゅうしょとは、各人の生活の本拠をいう(22条)。

「生活の本拠」とは、その人の生活の中心となる場所を指し、本籍地や住民登録地とは必ずしも一致しない(実質主義)。

法律上、住所は、一定の効果と結びついている。たとえば、不在の基準となる場所(25条1項・30条1項)や弁済の場所(484条)、相続開始の場所(883条)は住所である。また、住所は、裁判管轄を決定する基準ともなる(民事訴訟法4条など)。

なお、法人の住所は、その主たる事務所または本店の所在地になる(一般法人法4条、会社法4条)。

居所とは

居所きょしょとは、多少の期間は居住するものの、住所ほどには生活との関係が密接でない場所をいう。

住所が知れない場合(住所が存在しない、または不明の場合)は、居所を住所とみなす(23条1項)。

また、日本に住所を有しない場合は、日本人であるか外国人であるかを問わず、日本における居所を住所とみなす(同条2項)。

仮住所とは

当事者は、取引の便宜上、住所以外の場所を定めて仮の住所とすることができる。これを仮住所かりじゅうしょという。

当事者がある行為について仮住所を選定した場合、その行為に関するかぎりで住所とみなされる(24条)。

不在者とは

従来の住所または居所を離れて容易に帰ってくる見込みがない者不在者ふざいしゃという。所在が不明な者だけでなく、海外に長期間滞在しているなど所在が明らかな者も不在者に含まれる。

不在者が財産を残していった場合、その財産を適切に管理する必要が生じる。しかし、不在者が管理人を置くとはかぎらず、また、管理人を置いた場合であっても、不在者の生死が不明であるときには本人による監督を期待することができない。

そこで、そのような場合に対する措置として、家庭裁判所が不在者のためにその財産管理に関与する制度が設けられている(25条~29条、家事事件手続法145条以下)。

さらに、不在者の生死不明の状態が一定期間続いた場合には、家庭裁判所により失踪の宣告がなされて死亡したものとみなされる(30条~32条)。

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